日本が北へと順々に桜色に染まる。
今年はゆっくりゆっくり。
美しい…
菩提寺の桜
ここ数年想うのは…
まだ、そんなことを考える歳でもないのに、
「あと、人生で何度、折々の桜に触れることができるのだろう…」と。
それほど、桜色に染まるこの時季が、僅かな貴重なひととき。
私の好きな桜の歌人、西行が詠んだ、
『わび人の涙に似たる桜かな
風身にしめばまづこぼれつつ』
ただただ、この繊細な描写の歌が、詠み人の感性が好き。
生命力が強く、長い間じっと耐え、見事に咲き、見事に散る。
強くて美しくて儚くて、そして潔い。
古来日本人は、この潔さに心を奪われ、その潔さを誇りに感じていたのでは…
人間には誰しも各々が持つ「執着」がある。
人間だから当たり前。
自分の物差しの執着から、少し離れたとき、心が楽になり、本当の意味での強くて潔い人格になるのでは。
両手に握りしめている、大して大切ではない執着を、潔く捨ててしまえば、新しく大切なものが掴めるはず。
🇫🇷パリ在住の友人から届いた、病院の中庭に咲く桜。
パリのSAKURA
この病院は400年前の建物らしく、「可愛いわよ💖」と友人から。
毎年、多くの病む人々の心を癒していることでしょう。
国が変わっても、思わず足を止め、時間を忘れて見上げしまう、SAKURAの魅力🌸
桜は美しい。
強くて儚いから美しい。
潔いから美しい。
桜の咲き様、散り様に、ふと人間の有り様を考えるようになった今日この頃。
できれば私も
『願はくは花の下にて春死なん、そのきさらぎの望月のころ』
日本人に生まれて良かった。