この3年間これからの未来

世界がパンデミックになり、
世の中が変わり始め、
入学してきた生徒たちが、
今年、高校を卒業します。
初対面はオンラインでのレッスンでした。

マスクを付けた顔の印象が強いままです。

修学旅行も無くなり
『青春は密』と、
高校野球の監督も仰るとおり、
自身の学生時代を思い出しても、
濃かったと思います。

それでも3年間頑張り続け、
きっと友との絆も深くしたであろう
高校生の卒業演奏会が、
先日、無事、終了しました。

皆さん、
お疲れ様でした。
素晴らしかったです。

私の生徒も、
プログラム最後の演奏ということもあり、
この長い1日を、
良い経験でもあり、
緊張続きの連続でもあり、
弾ききった自信と喜びと少しの反省もある、
生涯、忘れることのできない1日だったことでしょう。

『3年間の感謝と、音楽ができる喜びで精一杯弾きました』という生徒のコメントに、
技術もさることながら、
人としての成長に嬉しさしかありません。

今の若者たちが、
こんな苦難の青春時代をくぐり抜けた先、
どんな未来が待っているのか…。

一生、心に残る卒業演奏会。
思い出すたびに、このパンデミックも同時に付随してくることでしょう。

マスクを外し、
この全てにおいての息苦しさ、
制限された生活から解放されたとき、

彼等が更にのびやかに表現して、
個々の個性を輝かせ、
高く、広い広い世界へ飛び立つのを
2023年を迎える今、

切に願うのみです。

バックハウスと「手」

12月、4時間のみ滞在の東京に行ってきました。
日比谷、銀座界隈を歩きながら、

コロナ前の2019年、
母と手を繋ぎながら、のんびり歩いたなぁ…。
もう、そんなこともできないなぁ…と。
施設で、何もかもわからなくなっている母に少し罪悪感を覚えながら。

母が学生時代過ごした、
大好きな東京に、
年老いてから何度か連れていく機会をいただけたこと、
今更ながら、良かったと思っています。

何故、音楽に携わる人生になったんだろう?
なんてことも考えながら、
母が最初にレールをひいてくれたことに、
若い頃は嫌でしたが、
特に最近、感謝しかありません。

父もよく、
『親は子供が得意なこと、好きなことをみつけるのが役割だ』とも言っていました。

もちろん、
嫌なこともたくさんあります。
私自身、「個」が強いので、
母のレールに乗っかることに反発もしました。

最近、
高校生の合奏に久しぶりにビオラで乗り、
「あぁ、楽しい。音楽を作り出すこと、いろいろな音の中に身を置くこと、
単純に楽しい」と。
嫌なことも浄化され、
母への感謝を実感する瞬間を噛みしめていました。

先日、フランス在住の同級生から、
「今でも、音楽に携わっていられることを羨ましく思うよ」って言われたとき、
改めて、有難いことなんだと、
良いダメ押しをされたみたいでした。

学生時代好きだった、
池田理代子氏の漫画、
「オルフェウスの窓」
レーゲンスブルク〜ウィーン〜ロシアと、
3人の人生を描く大作ですが、

主人公のひとり、
貧しいながらも天才ピアニスト、
イザークが、
スランプに陥ったとき、
実在のベートーヴェン弾きのピアニスト、
バックハウス氏が現れ(お話は架空です)
イザークに言います。

【みんな、それぞれが違う手を持ち違うピアノを弾く…
けれども、確かなことは、

きっと、きみも、僕も、、、
共に美しい音楽に満ちて
生涯を送れるということです】

何かあったとき、
必ずこの言葉を思い出すようにしています。
生きている限りずっと。

先程、
施設で私のお洋服をたくさん作ってくれた、もう短い命だろう母の手を握り、
この手にも感謝です。

2017-2024 岩﨑バイオリン教室