異国と自国

ちょうど50年前に作られたストーリー性のあるショー。
『ノバボサノバ』

当時にしては斬新なダンス。
3日間のカーニバルでの随所の恋。
太陽が降り注ぎ
海のきらめきが想像できる曲達。
でも、哀愁をおびて
なんとも切ないメロディーラインの曲も。
八百屋舞台
(舞台上が観やすいように斜めの舞台)

子供の頃再演を観た私と友人は、
よくノバボサノバごっこをしていました。

カリオカの主人公ソール(太陽)
カーニバルの旅行者、白人のエストレーラ(星)
ストーリーがしっかりあるのに、
セリフは
最後の「エストレーラ!」の、
ひと言のみ。

50年前なのに作者の自由な発想が受け入れられ、今観ても全然古くない。

「エストレーラ」…星…

メキシコの作曲家ポンセのバイオリン曲
『エストレリータ(小さな星)』

巨匠ハイフェッツが編曲し、
哀愁あり、可愛らしくもあり、
でもどこかjazzyな要素もある素敵な曲。
これも子供の頃、
NHK名曲アルバムで初めて聴いて、
なんて素敵な曲だろうと。

同じくメキシコの医師であり作曲家が作った民謡
『ラ ゴロンドリーナ(つばめ)』
名曲アルバムでは、
辛い状況の外つ国から、
祖国を想う切ない気持ちを、
トランペットが哀愁込めて
歌いあげていました。

 

…とある国が
期限までに脱出しなければいけないほど危険な状態に。

現地から一刻も早く祖国に帰してあげたい。
他国のために働いてきた現地の人々も一緒に。

なぜ、現地の我が国のトップは真っ先に退避したのか。
他国は知恵を絞って最善を尽くしたのに。

…タイタニックを思い出した…。

…杉原千畝さんの人道的な行動は、
ただの歴史上の物語になってしまっているのだろうか…。

50年前の作品は全然色褪せないのに、
わずか75年程前の善行は忘れ去られてしまっている。
しかも杉原さんの功績が認められたのは随分経ってから。

ゴロンドリーナのようにその時期を察し、
自由に大空を飛び立ち、
目的地に到達できればいいのにと、
ひとつしかない空を見上げながら
願うばかりです。

古都で欧州の響き

京都上桂、
青山音楽記念館バロックザール、
荒井優利奈さんのバイオリンコンサートに出かけました。

事前に感染対策をしっかり考え、
行きも帰りも新幹線の車両には、なんと2名だけ。
ホールは200のキャパに100名までの入場。
もちろんクラシックコンサートなので、舞台上も客席も声をあげる人はいません。

出かけるときは晴天でしたが、
京都駅に着き、突然の豪雨。
ホールに向かう時刻になったら、
無事、雨は止んで、
少しだけ晴れ女の役目を果たせたでしょうか。

初めて行くホール。
桂から阪急嵐山線で上桂下車。
住宅街?と思われるところに、
落ち着いたブラウンの建物。

京都堀川高校出身のピアニストにお尋ねしたら、
響きの良いホール…。とのことで、
楽しみにしていました。

【ベートーヴェンソナタ】
【バッハ無伴奏ソナタ】
【イザイ2曲】
【シューベルト.ヴァイオリンとピアノのためのファンタジー】

ピアノとのアンサンブル。
無伴奏曲。

音色の弾きわけ、合わせの繊細さ。
ボーイングの妙技。
本当に、贔屓目ではありませんが、
音楽的に素晴らしく、
とても好きな演奏です。
舞台上から気品も溢れ、
贅沢な時間を過ごせました。

 

コロナ禍、第5波感染拡大。
選手は素晴らしいけれどオリンピックのよくわからない裏側。
同じくよくわからない首相の発言。
京都駅での突然の豪雨。

全て忘れた上質な2時間でした。

蒸し暑さが肌にまとわりつく鬱陶しい季節ですが、
響きの良いホールで聴く脈々と受け継がれる名曲。
心地よい緊張感と、
グァルネリの深い音色と癒しの瞬間、

そして何より、
技術だけでなく音楽的に見事な演奏に圧倒され、
鬱積した現世からかけ離れた空間でした。

小規模の素敵なホールで、
クラシック音楽を愛する人達だけで
身近に聴けるコンサートは、
やっぱりいいですね。

古都でのヨーロッパの香り、
佳き瞬間をありがとうございました。

コンビニで購入した今人気の抹茶ラテ。
京都嵐山の麓で飲むと、
妙になんだかしっくり馴染んでる感がし、
ミルクの甘さを宇治茶の渋みでおさえ、喉ごしよく美味でした。

これまた『和洋折衷』

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