7月、
高校の定期演奏会に、
生徒がシベリウスのコンチェルトで出させていただきました。
3年間一生懸命頑張り、この曲にかけていた姿は、
高校生ながら、尊敬の念も感じました。
日本人が、ましてや高校生が
北欧フィンランドのことを感じようと思っても、
なかなかヒントがありません。
歴史、自然、国民性、
昨今は、ウクライナ関係で、北欧がどのような方針になるのか、目が離せない状態ですが、
それでも、遠い国です。
しかし、
ホールの澄んだ空気、
張り詰めた空間で、
今の彼女なりに聴衆を魅了させ、
見事にシベリウスを弾ききってくれました。
8月には、
ハンガリーからリスト音楽院の教授陣が来日され、
レッスンが行われる予定でしたが、
突然の感染者増加。
残念なことに、中止になってしまいました。
コロナ禍で高校に入学し、
プラハ、ザルツブルク、ウィーンの修学旅行も行けず、
リスト音楽院、プラハ音楽院のレッスンも受けれず、
なんとも可哀想な世代です。
当然、私達の世代はこのような贅沢な環境ではありませんでしたが、
世界が近くなった昨今、
多感な時期に、
異国のエッセンスを吸収するチャンスがある。
乗らない手はありません。
最初から無かったチャンスと、
用意されていたにも関わらず、
世界的なパンデミックで、手にできないもどかしさ。
悔しさは違ってきます。
シベリウスは、
フィンランドが帝政ロシアから独立しようと抗い続けるなか、
フィンランドの国土を投影するかのような国民性豊かな作品を生み出しました。
特にバイオリンに愛着があったのにも関わらず、
始めるのが遅すぎた…と演奏家になるのを断念した人生でもあります。
しかし「フィンランディア」のように第二の愛国歌として、世界中に知られるようになるほど、
北欧を代表する作曲家です。
北欧の、
夏の沈まない太陽。
裏腹に、冬の厳しさ。
日本の頑張っている若者も、
この夏、
同時にそれを体感しています。