中村吉右衛門さん

父が、時代劇、西部劇が好きだったせいか、
子供の頃からよく一緒に、
ジョンウェイン、ゲイリークーパー等々の映画を観ていて、
「シェーン」に限っては何度観たことでしょう。

戦争映画ではありますが、
グレゴリーペックの他、
多数のスター俳優が名前を連ねる
「ナバロンの要塞」も、
結末がわかってはいても、テレビで放映されるたびに視聴。
子供ながらにグレゴリーペックのカッコ良さに惹かれ、
「ローマの休日」から「アラバマ物語」「紳士協定」等、
社会派の映画まで、片っ端から観た記憶があります。

昔のハリウッド俳優の存在感絶大なスター性。

先日、中村吉右衛門さんの訃報が流れました。

『鬼平犯科帳』の長谷川平蔵。
「鬼の平蔵」
物語のテーマがしっかりあり、人の有り様が細かに描かれ、
鬼平の人間臭さと、粋な計らい。
めでたしめでたし…で終わるばかりではなく、
それがまた俗世間っぽくて良い。

他の時代劇とは全く違い、
短編小説を読んでいるかのように、
一話一話、のめり込んで観ていました。(もちろん池波正太郎さんの小説なので)。
鬼平の、
頑固でもあり柔和でもあり、
粋で筋の通った格好良さ。
食通で、江戸の小粋なお料理も彩りを与えていた作品。

別格で秀逸の時代劇でした。

ドラマの最後、
『ジプシーキングス』の音楽
「インスピレイション」が流れ、
最初、
時代劇にジプシーキングス???と、
少しビックリしましたが、
映像と相まってこれがピッタリ。
なんとも悲しげで、物語に余韻を残し、
視聴者に、
その後の想像力や静かな感動、
空虚な時間を与える見事なエンディング。
この選曲、格好良すぎ。

吉右衛門さんの人生も静かなエンディング。

私のなかで、ジプシーキングスの
ラテンギターの音色が哀愁いっぱいに響いています。

中村吉右衛門さん、鬼の平蔵さん、
大好きでした。

父との思い出と共に、
素晴らしい作品をありがとうございました。

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