桜咲く適塾〜教授散る

大阪船場の本町に午前中所用あり、
昼下がり、芦屋に行かなくてはいけなかったのですが、
少し時間があったので、
歩いて淀屋橋方面に向かいました。

ちょうどお昼時、
たくさんの人々の賑わいのなか、
緒方洪庵の『適塾』発見。

適塾の前を目もくれずランチ目的の人々をよそに、
そこだけ時空が違う空間、
古式蒼然とした佇まい、
現代の商業ビルのなか、
不思議な違和感を覚え、
足を止めてしまいました。
隣家には一本の桜が。

適塾は、
コロナ禍が始まった頃のブログにも書きましたが、
緒方洪庵が、蘭学、医学を志す若者のために作った学校。
日本を牽引してきた多くの著名人がここで学び、
岐阜出身者も多く、なんだか誇らしく感じました。

落ち着いた居室、よくお手入れされている庭、
びっくりしたのが、
外廊下の狭さ、これですれ違うのは、誰かが庭に降りないと…。
階段の一段の高さと、幅の狭さ。
私の足でも飛び出てしまい、
上るには体力使うし、下りるには、かなり怖い。
昔の人は今のような体格でないとはいえ、
たくさんの若者がここを上り下りし、
切磋琢磨していたかと思うと、
当時の喧騒が聞こえてきそうです。
塾生たちはこのコロナ禍を
どう乗り切ろうとしたのだろう…。
想像が膨らみます。

外に出ると普通に現代のランチタイムの往来。
私だけがタイムスリップしているようで、
まさに「JIN」の世界でした。

きっと、
当時の船場の活気からして、
たくさんの往来と、たくさんの塾生で、
常に賑わっていたのでしょう。

議論伯仲、喧々ごうごう、
人々の話し声のBGMが聴こえてきそうです。

一転して、
芦屋での落ち着きと、
これまた、
所用で訪れた日本建築の閑静な佇まい。

芦屋川の桜、
柔らかな風と、眼に優しい自然色、
薄桃色の傍で、
早くも、わずかに舞う花びらを
ただただ見つめるだけの贅沢な時間

桜を愛でるBGMは、
知らない人との穏やかな会話、
楽しげな子供の声、
そして、刹那的な桜を静かに見守るゆるりと流れる水音。
いろいろなBGMがあっていい。

ブログを書いてたら…

…『教授』坂本龍一氏の訃報が入ってきました。
私達の世代には憧れの存在です。
YMOのときとは違う、
呼吸のようなピアノの音色がテレビから聴こえてきます。

桜満開の頃、作品を遺し、
散り急ぎの感がかなり残念ですが、
見事な咲き様でした。
ご冥福をお祈りいたします。

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