東京で…
初台の東京オペラシティでのコンサートに行ってきました。
以前、母と日本音楽コンクール本選を聴きに訪れたとき、
ここから新宿寄りにある母の母校である、
文化服装学院(現、文化学園)に寄り、
訪れるのは60年ぶりくらいらしく、
変わり果てても、懐かしがっていたのを覚えています。
今回、
私は、亡母を連れているつもりで、
母の眼となり、足となり、
再度、文化服装学院の前まで行ってみました。
立派な現代的な建物。
都庁に合わせたのかな???
母の時代と、今の時代は違いますが、よく、
「休日はみんなで、寮から銀座まで歩いた。楽しかった!」
なんて話を嬉しそうにしていたのを思い出します。
銀座が好きな母。
昭和22年創業の
洋菓子舗「銀座ウエスト」。
学生だった母には、高級だったかもしれず、
訪れたのかどうかはわかりませんが、
今、売り上げの一部を、
能登半島地震の義援金にと、
それに賛同し、
この日は刺すような寒さでしたが、外で並び、
ここの馴染みであろう
品の良いご婦人方とのお喋りで暖をとりながら、
順々に扉をくぐっていきました。
昔ながらの趣き。
ベートーヴェンの大きな胸像。
蓄音機は…どこかしら?
雰囲気に溶け込む絵画。
店内は、室内楽がちょうど心地よい音量で流れています。
お喋りするにも、ひとりの時間を楽しむにも、
耳に優しい音楽。
読書する人、
周りへの気遣いを感じる静かな会話を楽しむ人、
香りの濃い紅茶をお代わりして
質の良いケーキ(いちご甘くて、生クリームも良質)を楽しむ私。
テーブル毎に異種の生花と、
「風の詩」と題したエッセイの冊子。
さすがに、かつての文化人達が集いたくなる空間です。
店内は弦楽器の音色と共にゆっくり時間が流れています。
…外にはたくさんの人が並んでいましたが…。
決して広くない店内ですし、
今の時代のインスタ映えなる趣向とは全然違いますが、
古き佳き銀座を感じさせ、
接客の温かさ、
上質な音楽、
品の良いお菓子とお茶。
母にも雰囲気を味わってもらいたかったと、
生前の東京散策ルートに入れなかったことに、
ほんの少しの後悔を残し
昭和の薫り漂う銀座の一角を、
母と北風と共に去りました。