『令和始めの、終わり』(動画あり)

…光陰矢の如し…
元号も変わり、12月に入ってからは、更にあっという間の日々でした。

12月のスケジュールをこなすのに体力が続くかしら?と
少々不安を覚える年齢になりましたので(笑)
まず、癒しチャージとして、
12/9、梅田芸術劇場で上演されている、もうひとつの『オペラ座の怪人』…『ファントム』を観劇。


ファントム役の城田優演出で、開演前からお客様を楽しませる面白い演出。
お客様目線の工夫はとても勉強にもなりました。
『オペラ座の怪人」とは違い、ファントムの生い立ち、心情が描かれていて、泣けること間違いなし!
観ておいて良かった…。

…さて、12月のこれからは怒涛のスケジュールと覚悟し、

まず、高校の【卒業演奏会】


サラマンカホールにて

三年生全員が、ソロ演奏を披露します。
私の生徒も三年間の成果を、堂々と弾ききってくれました。
合奏はオペラ『アイーダ』より「凱旋行進曲」
合唱も入り、副科の弦の皆さんもよく頑張ったと拍手です。

クリスマスパーティーでの
【クインテット】
旧知のメンバーと、わずかな時間ではありますが、やはり、アンサンブルは楽しいなぁ…と。
お客様が喜んでいただけるのが一番嬉しい。

そして教室の【発表会】
毎回、本当にご家庭でのご協力もあり、ソロ曲は生徒の皆さん、よく頑張りました!!
幼稚園の生徒さんのソロ曲といっても1.2分で終わってしまう曲がほとんどです。
もう少しの間、舞台に上げてあげたい…という気持ちから、
『小さなヴァイオリストたちの合奏』として、
幼稚園+小学生の生徒さんで「きらきら星〜ちょうちょ」のメロディーを、高校生大学生が2ndパートを弾き、合奏を楽しみつつ、舞台に上がってもらえればと考えました。

 

全体合奏も今年は、前述の
『ファントム』より
「you are music〜home」
『オペラ座の怪人』が有名なので、あまり知られていないかもしれませんが、とても素敵な曲です。
2部パートに編曲し、また幼稚園児でも弾けれるようなパートも入れ、ハーモニーを大切に、自画自賛になりますが、綺麗な曲に仕上がったのではないかと思います。

発表会の次の日は、毎年恒例の
【刈谷、子供のためのヴァイオリンコンクール】
エントリーは、まだ幼い年齢の生徒さんですが、よく二日続けて舞台に立った…ということを、まず褒めたいと思います。
私が言うのも手前味噌ですが、素晴らしい演奏を披露してくれました。
銀賞をいただきましたが、私の中では、間違いなく特別賞です。

発表会、コンクールと生徒の皆さん、本当に、お疲れ様でした!

風邪が蔓延するなか、体調は大丈夫かしら?と生徒も私自身も心配でしたが、
まず、無事に、生徒全員が舞台に立てたことが、何より。
私も、このスケジュールをこなせたことに安堵と感謝しかありません。

「スケジュールをこなす」…
あまり好きな言葉ではありませんが、
ひとつひとつのスケジュールをこなすには、
それまでの構想と工夫と準備とギリギリまでの努力があっての「スケジュールをこなす」です。

【準備無くして、事は始まりません】

少なからず、生徒さん達は、年齢の上下に関わらず、学べたのではないかと思っております。

そして何より、健康で、努力でき、臨めること。
これが一番大切で、有り難いことではないかと、「悟り」のような境地にいます(笑)

さて、少し身体と脳を休めてから、令和二年の「スケジュールをこなせる」よう、準備に取りかかりたいと思います。

私に関わって下さる全ての皆様に感謝の心を込めまして…
この一年ありがとうございました。

Violinist.《Yurina.Arai》

令和1年.11月17日。
荒井優利奈さんのリサイタル
1部、2部を聴かせていただきました。

曲目を変えての2部公演。
北海道〜岐阜〜東京とウィーンから一時帰国してのリサイタルです。

プログラムの殆どが1.2ヵ月前から練習し始めた…とのことですが、そんなこと微塵も見せず、見事な演奏でした。

♪モーツァルトはモーツァルトらしく、
♪ブラームスはブラームスらしく、
♪G線の調弦をFに合わせるイザイ、
♪クライスラーも、さすが、現ウィーン住民らしく、暗黙の揺らぎや軽やかさ。

この日のピアニストは優利奈さんの同級生「リード希亜奈」さん。
2部のみ、ピアノソロ曲がありました。

♪ラヴェル「ラ ヴァルス」
♪カプースチン「変奏曲」

カプースチンは初めて聴きました。
Jassの要素が入り、かなりの難曲であろうと想像できますが、
バイタリティ溢れエネルギッシュで、それでもって、きっちり整理された感があり、
興味深く、ソロピアノに引き込まれていました。
また、優利奈さん同様、
人柄の良さが笑顔と共に滲み出ていて、
この日は、質の高い喜びと温かな気持ちで満たされていました。
お天気も応援してくれているのか、とても暖かな昼下がり。

ウィーン秋限定のマロンチョコ。
定番のウィーンのチョコレートは今までも、いろいろ食してきましたが、これは美味しい!!!
…《なぜか、ふと、映画「第三の男」の並木道が頭をよぎりました》
ウィーンの季節のモノを…という、そういう心遣いもまた嬉しい。

次回
令和3年3月3日
サンサーンス協奏曲3番を
名古屋フィルハーモニー交響楽団と競演。
(冗談のような本当の企画です)

まだまだ研鑽のため、ウィーンで勉強中ですが、
子供の頃を知っているから…
という贔屓目を捨てても、
広く皆さんに知っていただきたい、
すでに素晴らしい、更に成長を遂げるであろう、

Violinist 《Yurina.Arai》

が、誕生していると確信いたしました。

🎵モーツァルトくん🎵

今年も我が高校は、無事、プラハ〜ザルツブルク〜ウィーンの修学旅行を終えることができました。

以前、ウィーンを訪れたとき、このモーツァルトくんに一目惚れ❤️


たくさんのステーショナリーグッズを買って、
そろそろ便箋が無くなりそうなので、おとなげなくも、生徒に買ってきてもらうようお願いしました。


便箋って、人様に届くもので手元には残らないのに、皆様に喜んでいただけたらという思いと、自分の個性を発信することなので、なぜか凝ってしまいます。

音楽も自分の個性を乗せ、人様にお届けして喜んでいただけたとき、何かふんわりした温かいものに包まれたような嬉しさを感じます。

人に発信していくとき、「このようにしたら喜ばれるかしら」と、考えるのも楽しみのひとつですよね。

成長過程で『始まりはモーツァルト、行き着くところもモーツァルト』

モーツァルトの音楽には、演奏の面でやってはいけないタブーや約束事があり、身体の筋肉の使い方が、、、
…結局のところモーツァルトは難しい。

天上の音楽のように美しくて軽やか。でも、突然ビックリするようなフォルテッシモ
…やっぱり難しい。

お調子者で不真面目(会ったことないので知りませんが)。
でも、天からのギフトとして、稀なる才能を与えられた唯一無二のモーツァルト。

モーツァルトが石畳みの道を馬車で揺られた行程を、生徒たちは旅しました。

『便箋、買えました!』とザルツブルクの生徒からLINEがきて、
再び、手元にやってきた🎵モーツァルトくん🎵

SNSの時代、
さて、この趣味に付き合ってくれる誰にお便りを出そうか?と。

生涯、馬車でヨーロッパを飛び回っていたモーツァルト。

この🎵モーツァルトくん🎵も、これから、あちこち飛び回ります。

懐古〜グラッペリ。グランドホテル。

ちょっとクラッシック音楽に疲れて…。

ふと、昔集めた、
ジャズバイオリンの巨匠
「ステファン グラッペリ」のCDを引っ張り出してみた。

1997年に89歳で天に召されているが、
晩年もライブを続け、テレビ出演もし、切なくもあり温かな音色と、軽快なリズムでスウィング。
かなり高齢なのに見事によく動く指をじーっと見ていたものだった。

クラッシックバイオリンからしたら、決して正しい持ち方ではないけれど、楽器がグラッペリの身体の一部に同化して、
なんて楽しげに、お洒落に、粋な音楽を奏でるんだろうと、
グラッペリお爺ちゃんにクギづけだった。

ガーシュインの曲も、グラッペリの手にかかれば、
ニューヨークではなく、パリのエスプリに。

映画「カサブランカ」の「アズ タイム ゴーズ バイ」の最後に一瞬「ラ マルセイエーズ」が隠れてて、これまたお茶目なアレンジ。

20世期を生き抜いた素晴らしいジャズバイオリニスト。

そして、昔の映画、ベルリンを舞台にした「グランドホテル」をミュージカルにしたブロードウェイ作品。

グランドホテルという箱の中で、様々な人間模様が同時に繰り広げられる。
喜びも哀しみも、身分の違いも、グランドホテルの中を行き交う。
それでも最後は、何事も無かったかのようにいつもと同じ朝を迎え、今、生きているよろこびを叫ぶ。

1991年、ブロードウェイミュージカルが来日した際、何気に名鉄ホールに足を運び、良い意味でショックを受けた作品。
鬼才「トミー チューン」演出。
赤椅子だけで、グランドホテル内の場面が転換。
1930年代の古き良きヨーロッパが舞台なのに、その香りを残しつつ、チャールストンあり…わずかにアメリカを思わせる。
私の中では、いまだに、この作品以上好きなミュージカルは現れず。
楽曲もどこか不思議で大人の雰囲気。
「ファントム」の作曲家、モーリー イェストンの作。

『ジャズをパリのエスプリで奏でるグラッペリ。』
『ベルリン舞台なのに禁酒法時代のアメリカを匂わせる。』

…なんだか、粋で上質で、コニャック色の雰囲気…とっても素敵。

荒井優利奈リサイタル in 岐阜2

猛暑の真っ盛り、彩り深まる秋の頃のお話ですが…

ウィーン在住の荒井優利奈さんが、
昨年と同じ「カーザップラウジ」に於いて、
令和元年.11月17日(日曜日)
♪13時半〜
♪17時半〜

2回公演をいたします。
曲目は、1回目2回目で変わります。

北海道〜東京〜最後に岐阜でリサイタル。
是非、この機会に足をお運びいただき、
彼女の繊細で品良く、かつ大胆な演奏と、
グァルネリの響きを間近で堪能していただければ…と思います。

チラシに詳細があります。
ご覧いただければ嬉しいです。

♪2019音楽科定期演奏会

令和元年、7月13日土曜日。
高校音楽科の定期演奏会が岐阜サラマンカホールにて行われました。

定期演奏会は、ソリストとしてアンサンブルとしての選抜者が演奏を披露する場です。
他にも合唱、オーケストラ演奏もありますが、

今年は、私の生徒が、
【イザイ作曲、無伴奏ソナタ4番】を弾かせていただきました。

4番はイザイがクライスラーに献呈。
1楽章の終盤は単旋律のモチーフが、だんだんと二声、三声と厚みを増していき、技術的にも高度です。

ヴァイオリンは単純な単旋律を人様に聴いていただくだけでも、長年の緻密な練習の積み重ねが必要で、年月かけて練習していても、なかなか弾けるものではありません。

広いホール、満席のお客様、かなりの緊張感のなか、この難曲をよく弾いたと思います。
私としては万雷の拍手を贈りたいです。
【Brava!!!】

リハーサル

高校では、ピアノ科の生徒が副科として弦楽器を勉強します。
(ピアノ科以外の生徒の副科はピアノ)

私はオーケストラの弦楽器担当の授業にも携わっており、今年の曲目は、
チャイコフスキー作曲
【眠れる森の美女】から、「序曲とワルツ。」
ディズニー映画でも取り入れられておりますので耳馴染みだと思います。

ピアノ科の生徒は、わずか1.2年、弦楽器に触れただけで、チャイコフスキーの代表的なバレエ曲、
楽譜の音符の羅列が真っ黒な(笑)この曲を弾かなくてはいけません。
至難の業です。
しかし、彼等なりに工夫して、一生懸命練習し、
当日はお客様から
『良かったよ。弦が綺麗だった。管楽器も迫力あった!』
とのお声をいただき、私自身、心の底から嬉しい気持ちでいっぱいです。
コンミスを務めた3年生ヴァイオリン専科の私の生徒にとっても良い経験でした。

このように、用意されている舞台ひとつひとつに向け、10代の若者が、そこを目標に、また次の目標に、日頃から精進する。

今回、選抜されなかった生徒も、舞台に立てた生徒と同じように努力していることでしょう。

ここのところ、この国がどこへ向かっているのか…
もはや、各々が考えるモラルの境がどこなのか…
様々なニュースを耳にする昨今、
ひとつの目標に向かい、出来ようが出来まいが、努力する若者達、努力ができる若者達は本当にカッコイイ。

彼等に
【Bravi !!!】

長久手今昔

「父の日」に母を連れ、愛知県「長久手市文化の家、森のホール」でバロック弦楽合奏の演奏を聴かせていただきました。
出演の皆様、大変なお仕事のなか練習して舞台に立つ。
素晴らしいことです。

長久手は、?十年前、大学4年間を過ごした思い出深い街です。

当時の面影はどこへ???
と思うほど、街の様子は変わり、愛知県の中でも「お洒落な街」として、素敵に変貌した良い例です。

「森のホール」は、木のぬくもりがあり、温かでシック。
ステージが見やすく音響も良く、弦楽器にしっくり合う空間だと感じました。

そして、母と、母校「愛知県立芸術大学」にも足を伸ばしてみました。

母がこの地を訪れるのは、私の卒業式以来です。たぶん、これが最後でしょう……。
晴れ女の私は、今日もしっかりお役目を果たして…晴れてます!

『この管理棟の前で合格発表の張り出しがあったのよ』
と、記憶を辿ると、普段、写真嫌いの母が、自らをこの場所で撮ってほしい…と。

今は、PCの前で合否を知らされる時代ですが、
当時は、受験番号張り出しまでのやけに長いドキドキ感のなか、
同じ高校から受験した友人と、祈るようにその時を待っていたものでした。

合格がわかると、母や友人と飛び上がるくらい喜び、写真左の公衆電話から、自宅で待つ父へ連絡。
公衆電話の前に、列ができていたのを覚えています。
懐かしいアナログのゆっくりした時代。

両親は、芸祭になると電車を乗り継ぎ訪れ、風光明媚で、丘の上に存在するこの広い空間のキャンパスを、特に父はとても気に入っていました。
他人に言うといつもビックリされるのですが…
当時の寮費は1ヶ月、2500円(母は大喜び)。
なので、親孝行のためにも4年間寮は出ず、たくさんの友人達と過ごしたのが何よりの思い出です。


授業終わり、ここから眺める夕陽が大好きでした

毎年、教えにいっている高校の音楽科から数名、愛知県芸に入学します。

現在の私は、あの頃の両親より年齢を重ねました。

合格された親御さんの喜びは、ひとしおでしょう。

お洒落で住みたい街ランキングに入り、テレビでは「ナガクテーゼ」なんて言われているらしいですが、
私にはあの頃の、
素朴な緑しかない、
1時間に1本のバスしか走っていない、
みんなでスクーターで買い出しに行った長久手も、
素敵な記憶として残っています。

母と2人の車内でしたが、いつも助手席に座っていた晩年の父を感じながら、
帰路の名古屋インターに吸い込まれていきました。

🖤ノスタルジー🖤

11歳のとき、2歳上の幼馴染に連れられ初めて宝塚歌劇を観劇しました。
当時、3階まである大劇場の3階席から、煌びやかな世界に圧倒され、たぶん、口を開けて一心に観ていたと思います。

11歳とはいえ、その時の演目は強烈に覚えており、パリ19世紀末の女優、『サラ ベルナール』を題材にしたお話で、舞台背景には『ミュシャ』の絵が描かれていたと記憶しています。

もちろん、私も幼馴染も、今でもフルでテーマ曲は歌えます。

生オーケストラで演奏される歌劇に、さすがに舞台で演じる人間にはなれない…と幼いながら自覚していましたので(笑)
「このオーケストラで弾きたい!」と即座に頭を駆け巡ったのを覚えています。

しかし、幼い頃の夢は変わり様も早く、すぐに興味はなくなり…

それから、時を経て、
巡り巡って、
数年前、久しぶりに歌劇を観たとき、幼い頃の夢が、一瞬で思い出されました。
思い出すのが遅すぎた…と一抹の悔いも感じつつ。

東北に住む幼馴染が、93年の歴史があり、今、その幕を閉じようとしている『宝塚ホテル』に、
「一度でいいから泊まりたい!」
とのことで、2019.5/14、観劇と共に宿泊。

昨年から計画していた5月14日。
偶然にも、
この日が、93年前『ホテル開業日』と先月知り、少人数限定のフェアウェルイベントにも参加。

元タカラジェンヌと共に普段入れない場所の散策やご一緒にランチ。
歌のお上手なジェンヌさんでしたので、最後にはお歌のプレゼントもあり、、、。
他にも、様々な偶然が重なり、サプライズだらけの夢のような一日でした。

11歳と13歳だった私達は、同じ舞台を観劇し感動を覚え、
お互い空白の時代を経て、再び同じ舞台を同じ場所で観劇。

年齢は重ねたけれども、
震災で大劇場は新しくなったとはいえ、変わらず105年続く歌劇。
そして、93年間人々を受け入れてきた宝塚ホテル。

何故か、私が予約するといつも同じ角部屋の少し広いお部屋(笑)。
窓からは、大劇場のお稽古場の灯りが見え、夜遅くまで練習しているのであろうと時折眺めつつ、辛いときには「自分も頑張らなきゃ!」と、励まされ勇気をもらっていました。

フェアウェルイベントが続くホテルに「お疲れ様でした」と労いの気持ちと、
幼馴染と共に同じ感動を与えてくれた感謝。
そして、
子供の頃の夢、現在も違う夢を与えてくれる存在に《Applause❣️》

幼い頃の、ある一時期に抱いた夢は叶いませんでしたが、
年齢と共に変わるとしても、夢はたくさん持つべき。《Reves》
その夢のひとつひとつに、人との関わりがありそれぞれのエピソードが添えられ、引出しの数が増えていく。

青い空に恵まれ、子供の頃と変わらず流れている武庫川の水音と澄んだ空気。
オレンジ屋根のすみれ色の街に今も昔も心を残しながら、ホームであずき色の電車を待つ現在の私達でした。

桜〜SAKURA

日本が北へと順々に桜色に染まる。
今年はゆっくりゆっくり。
美しい…

菩提寺の桜

ここ数年想うのは…
まだ、そんなことを考える歳でもないのに、
「あと、人生で何度、折々の桜に触れることができるのだろう…」と。
それほど、桜色に染まるこの時季が、僅かな貴重なひととき。

私の好きな桜の歌人、西行が詠んだ、
『わび人の涙に似たる桜かな
風身にしめばまづこぼれつつ』

ただただ、この繊細な描写の歌が、詠み人の感性が好き。

生命力が強く、長い間じっと耐え、見事に咲き、見事に散る。

強くて美しくて儚くて、そして潔い。

古来日本人は、この潔さに心を奪われ、その潔さを誇りに感じていたのでは…

人間には誰しも各々が持つ「執着」がある。
人間だから当たり前。
自分の物差しの執着から、少し離れたとき、心が楽になり、本当の意味での強くて潔い人格になるのでは。

両手に握りしめている、大して大切ではない執着を、潔く捨ててしまえば、新しく大切なものが掴めるはず。

🇫🇷パリ在住の友人から届いた、病院の中庭に咲く桜。

パリのSAKURA

この病院は400年前の建物らしく、「可愛いわよ💖」と友人から。

毎年、多くの病む人々の心を癒していることでしょう。
国が変わっても、思わず足を止め、時間を忘れて見上げしまう、SAKURAの魅力🌸

桜は美しい。
強くて儚いから美しい。
潔いから美しい。
桜の咲き様、散り様に、ふと人間の有り様を考えるようになった今日この頃。

できれば私も
『願はくは花の下にて春死なん、そのきさらぎの望月のころ』

日本人に生まれて良かった。

『この100年…そして100年』

🌸2019.2月下旬。
皇居前の東京會舘を訪れる機会がありました。
今年1月にリニューアルされましたが、2020年には100周年を迎え、
随所に品の良い趣きと歴史が感じられます。

館内のふかふかの絨毯に、靴のヒールが埋まり上手く歩けない状態に(笑)

また年月をかけ、多くの人々の人生の重みと、時代という重みが絨毯にもかかってくるのだろうと。

ここ数年、様々なところで『100周年』というワードを耳にします。

我が母校も2015年に100周年を迎えました。

2015年、100周年記念オーケストラ。ラフマニノフ作曲ピアノコンチェルト♪同期と共に

100年前の日本が、倒幕の名残りの古い流れから抜き出て、教育、産業、交通、娯楽あらゆる面で変化し始めた時代。【大正デモクラシー】

100年間の進化のスピードは目まぐるしいほどです。

平成の御代は、戦争はなかったものの、多くの災害、精神的な疲弊に心痛めた時代。

日本人の、謙虚を美徳とし、礼節を重んじる、天皇陛下のお言葉にもあるよう、過去から長い年月つくり上げられてきた『民度』。

🎵西洋音楽もこの僅か100年の間に、多くの日本人の演奏家が世界で活躍するようになりました。

教会から始まった西洋音楽。
欧州人のDNAに既に組み込まれている何気ないメロディーに対する感覚も、日本人は背景を理解し、解釈して演奏しなければ、西洋では認められません。

西洋に追いつこうと懸命になってきた先人達には敬服すると共に感謝し、
世界が近くなった昨今、
これからの100年は、グローバル的な良き考えは更に吸収しながら、最近少し懸念せざるを得ない日本の誇るべき民度を落とさず、伝承することが大切なのでは…と。

縁あって私に関わってくださる次世代へ向け、自分自身の使命だと考えさせられて、、、。
とは言え、そういう私自身はどうなのか…?。

🌼日比谷通りを境に、夜の帳がおりている「在位30年式典」が連日続く皇居を右に、
長年、女性としてのお手本をお示し下さった素晴らしいお姿に憧れを抱きつつ、
私自身、ヒールには合わない街路を慎重に歩く自分に歯痒さを感じながらも、お手本の継承を想い、宿へと、一歩一歩踏み出しておりました。

2017-2024 岩﨑バイオリン教室