【兼高かおるさん】

『兼高かおるさんが亡くなられたニュースを耳にして』

子供の頃の日曜朝は、「兼高かおる世界の旅」と「海外ドラマ」で始まる休日でした。

1ドル=360円の時代。
世界を飛び回りリポートする『兼高かおるさん』が、子供ながらに、知的で美しく、エキゾティックで素敵な笑顔。
断然、私の憧れの女性でした。

私の記憶では、
確か、今は無きパンナムの飛行機が、「80日間世界一周」の曲にのせ滑走路を飛び立つオープニングで始まり、落ち着いた語り口の芥川隆行さんとの掛け合いもまた素敵で、毎回ワクワクしながら観ていた記憶があります。

今や、近い海外になりましたが、当時は夢のまた夢。

ブラウン管の中で、毎週、家族が世界一周をさせていただいてた懐かしい思い出です。

「80日間世界一周」の曲が大好きで、大人になり元々の映画も観ました。
英国紳士の間で、気球、鉄道に乗り、80日間で世界一周ができるのか?…という賭けをするお話ですが、ラストのどんでん返し。
当時のスター俳優が総出で作られた大娯楽映画。

でも、
やはり私のなかでは、「兼高かおるの世界の旅」のテーマ曲として「80日間世界一周」は心に留まり、
カルテットのお仕事でも、何度となく楽しく弾かせていただく度に、兼高さんのお顔がよぎりました。

当時、兼高さんに憧れていた私のような子供達が多いのでは…。

どんなジャンルであれ、
子供の頃に心に残る曲は、映像と共に色褪せません。

『兼高かおるさん、素敵な旅を、夢を、ありがとうございました』

母の糸くず〜2018.年末

♣️わたくし事ですが、2015年に父を亡くしてから、母の世話をしながらの生活です。
父とは相性良かったのですが、何かにつけて母には反発していた私。

♣️東京文化服装学院を出た母に、子供の頃から、ほぼ全て、ドレスに至るまで洋服を作ってもらっていました。
デザイン画は私が書いて。

♣️戦争体験世代の母は、子供の頃、近所のピアノのある家庭がことさら羨ましく、その夢を子供に託し、私は気がついたらバイオリン、ピアノを習っていましたが、10歳のとき、父が生死をさまよう長い入院生活になり、その時でも、母の「手に職」のおかげで、習い続けることができました。

♣️大人になり、毎日、洋裁をする母が出す【糸くず】が家中に落ちているのを、不快に思っていました。
何十年か経ち、愚痴りながら糸くずを掃除する自分に、ふと、
《この糸くずがあるから、自分はここまで育てられたのだ》
と気づき、モノの見方を変えれば、心は変わるものだ…と感じた瞬間でした。

♣️少し痴呆になってきた母ですが、

《親は子供が少しでも上手に弾けるようになったときは、本当に嬉しいものだよ。よくここまで弾けるようになったと喜ぶよ》
と、発表会を催すたびに、言います。

その、積み重ねて得る『喜び』に、少しでも携わることができれば、両親への恩返しになるのでは…と。

♣️毎年暮れに、40年続くバイオリンコンクールが愛知県刈谷市であります。


今年は12/23.24。
バイオリンは、課題曲をしっかり弾けるようにする、人に聴かせるようにするだけでも大変な楽器です。
今年も、小学生の生徒が、私の厳しい指導に耐え(笑)頑張ってくれました👏。
舞台では堂々と丁寧に弾いてくれて、賞もいただき安堵しております。
何より、このコンクールを目標にして頑張った過程が『宝』であると…。
親でなくとも、成長を嬉しく感じます😊

♣️最近、母の歩きもおぼつかなくなり、楽しい学生時代の思い出がある「大好きな東京」はこれで最後と、「行き納め東京、見納め東京」旅を計画しました。

破天荒で風変わりな母ですが、昭和一桁生まれにしては、ちょっとモダンな趣味。

数年前、日比谷シャンテ内の、此処にしかない素敵なブティックをみつけ、お洋服を母に見せたら、母のお気に入りブティックNo.1になりました。
私も大好きなお洋服たち💗
血は争えません(笑)
東京に行く度にお世話になります。

【日比谷シャンテ内 「KEIKO SUZUKI」スタッフ様と】

最後の東京旅は、日比谷の老舗ホテルを拠点に休憩しながら手を離さず歩いていました。
数年前から「北欧に行きたい!」と言っていましたが、さすがにそれは無理なので、日比谷公園のクリスマスマーケットで我慢してもらっています(笑)

我が強く大変な母ですが、私の個性の原点が、ここにあるのだと思うと、年老いた母を面白く可愛らしく見えるときがあります。

♥️日々、介護は大変ですが、神様がいるとしたら、反発してきた母への感謝を痛感する時間を、生きている間にいただけた…。
これが、私の『宝』で、それに気づいた私は幸せ者だと感じます。

今はピンときませんが、2018年東京旅は一生の思い出になることでしょう。

淋しいことに【糸くず】はもう出ません。。。

♪卒業演奏会♪

2018.12.8(土曜日)
高校音楽科の卒業演奏会がサラマンカホールで行われました。
各々、3年間の集大成を披露する場です。

受験前の音楽科最後の最大行事。
3年生が、緊張感、高揚感、達成感、汗と涙と笑顔でグチャグチャになる一日です。
私の生徒も、かなり厳しく指導した3年間でしたが、よくぞここまで弾いた!と褒めたいくらいです。

毎年、音楽大好きな普通科の先生から労いのお言葉をいただき、有り難く思っております。
今年は、素敵なお心遣いを講師の私達ひとりひとりにもいただきました🌹

【一本のバラですが、無限に増える可能性があります】

若者は、これから自分で切り開いていく未来に向かい、一本一本、地道に増やし、そして多くの薔薇を心に抱えていって欲しいものです。

🌱私達のやるべきことは、若い芽やつぼみに、栄養や水、陽の光を与え、花を咲かせていくこと。
時には、強くなってもらうために、大雨を降らしたり風を強くしたり、様子を見ながら試練も与えます。
そして、どんな花が咲くのか、それぞれの個性が開花するのを楽しみに育てています。

10年.20年経って、育てた花達が、また新しい命を育み、開花させてくれれば、こんな嬉しいことはありません。

『百花繚乱』という言葉が大好きです。
色とりどりの個性的な花が咲き乱れ、鮮やかで美しく芳しいなかに、私達を楽しませてくれる。
百花の一花一花が、見事に咲き開いた瞬間の一日でした。

『No Pain No Gain』
『No Rain No Rainbow』

……そして
【No Music No Life】

濃密なこの一週間

🎼久々に大学の恩師の演奏会に行ってきました。
なんて繊細な音色のアンサンブルなんでしょう。
1st4人、2nd3人、Va3人、Vc2人、Cb1人。
ダイナミックの振り幅が大きく、PPは、空気の間を抜けていくような、柔らかくもあり、透明感もあり、時にはピーンとしたハリもあり、ffは、この人数とは思えないくらいの迫力🎶
久しぶりに、綿密に作り上げられた音楽に、息をのみながら雑念を忘れ聴き入り、正直、PPPのパッセージでは、あまりの美しさと凝縮感に涙が出そうになりました。
「これが音楽よ!」と、巷に呼びかけたいくらい🎵
帰りの車窓。
夕陽をうけた東の空が茜色に染まる様にしばし見惚れて、心の浄化を感じた瞬間でした。

🎹高校音楽科の全体同窓会に参加してきました。
1期生の先輩方から今年卒業した生徒まで。
先輩方の生き生きとされたご様子。
やはり、音楽が人生の基盤にあり、人間としての輝き、明るさ、品格を感じ、先輩方のように生きていかなくては…と、この年齢で考えさせられるものがありました。

🌹宝塚歌劇「ファントム」を観劇しました。
「オペラ座の怪人」の別バージョン。
久々に歌の上手いトップコンビ。
凄く感動し、何度も涙が頬をつたい、「宝塚?!」と思うほど、完成度か高く最新映像も駆使して夢の3時間。
エリザベートの立見もすごかったけど、ファントムも負けてません。
演者の表情がわかるお席だったので、釘づけです。
ファントムが「僕は醜いけど、音楽に出会えて良かった…」と。。。

📺この週、NHKのファミリーヒストリーで有名ダンサーのルーツについて放送されていました。
「自分のことより、まず皆のために」というご先祖様ばかり。
頭が下がります。

♥️どんなジャンルであれ、絶え間ない努力のもと、人を感動させ、助けることができる人々は素晴らしい。
私は、これからの人生、どれだけ、周りの方々に還元していけるのか…。

明日からは、東京で、同窓生。 そして、よくお世話下さる方々にお会いします。
また、違った考え、違った刺激を受け、考え方が凝り固まるのではなく、いつまでも柔軟に成長したいと思っております。

生き様が顔相に品格に現れる。
立派な能書きを垂れるのは誰にでもできる…今の私はそう。
実践しなければ机上の空論になりかねない。

災害が多い昨今、天候にも恵まれ大きな事故もなく行動でき、いろいろな刺激をいただける…。
まず、そこから感謝して、次に、微々たる私の器で周りの人々のために何ができるのか…???
人生の諸先輩からの助言をたくさんいただき、素直に受け止め、もっともっと精進を重ねなければ、と。

いろいろ考えさせられる平成最後の秋でした🍁

音楽科.修学旅行

♪教えに行っている高校は普通科、美術科、音楽科があり、2015年、100周年を迎えました。

♪美術科の修学旅行はイタリア各地。
音楽科はプラハ、ザルツブルク、ウィーン。

2017、プラハ、生徒撮影

5月、ヴルタヴァ川

リラの花たち

🇨🇿有難いことに、プラハ音楽院ではレッスンが受講できます。

🇦🇹モーツァルトや、サウンドオブミュージックの地、ザルツブルクを経て、最後はウィーンに入り、
オペラを国立歌劇場で。

ミュージカルを他の劇場で。

ウィーン国立歌劇場、生徒撮影

ウィーン国立歌劇場、生徒撮影

ウィーン国立歌劇場、生徒撮影

毎年、その時期の演目から先生方が選び、高校生なりの精一杯のお洒落をして国立歌劇場に足を運びます。

10代で、しかも3年間同じクラスのもはや家族のような仲間と、「音楽」という共通の言語を持った者同士、旅ができるというのは、素晴らしく貴重な経験だと思います。

♪我が家は、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートが衛星で生放送し始めた頃から、元旦は、必ずコンサートが始まる前には、テレビの前に集まります。
いつか、このニューイヤーコンサートをお洒落して聴きに行きたい!と願い続けていたら、数年前、岐阜のオーケストラの演奏旅行の一員としてお誘いを受け、聴く側ではなく、舞台に乗る側の機会をいただきました。
交響曲の終盤では、「もう、終わってしまう…」という淋しさから、涙が溢れ出て、私には黄金ホールの輝きが、更に眩しく見えました。

楽友協会、リハーサル

国立歌劇場では、[バレエ]プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」をボックス席から観劇し、オケピの中もよく見え、コンマスは真ん中に座るのね…と新たな発見がありました。

国立歌劇場、ロミオとジュリエット

演奏会本番が終わり、私はオケ団員から離れ、ウィーンの街を、地下鉄やトラムを使い好き勝手に行動してましたが、さすがに修学旅行の高校生はわずかな自由時間以外、皆との団体行動。

ベルヴェデーレ宮殿内カフェ

でも、この年齢から、国立歌劇場やフォルクスオーパー、
ある高校生は自由時間にウィーンの楽譜屋さんに行きたい…と。
音楽を愛する者にとっては、五感全てが、本物の西洋音楽に触れ、異文化を、肌で、空気で、香りで感じる一週間です。
何より10代で、この空間を仲間と共有できる。。。

♪時空は変えられないので、私には二度と経験できないことですが、こんな素敵な経験ができる彼女達を羨ましく思うと同時に、たくさんの感覚、感動を身体に入れ、これからの音楽に生かしていってもらいたいものです。

帰国後、高校生ならではの面白い出来事を話してくれる彼女達のお土産話しで、和やかな笑いに満ち溢れます。
年齢を重ねていって、各々が違う人生を歩んでも、彼女達は再会するたび、この話題で花が咲くことでしょう🌸

…🛬11/10.午前。全員無事、中部国際空港に到着したとのメールが入り、ひとまず安堵です。。。

《2018.11月、生徒撮影》

プラハ

ウィーン国立歌劇場

シュテファン大聖堂

生徒からのお土産❤

荒井優利奈リサイタル in 岐阜

2018.7.28。岐阜、カーザップラウジにて、昼の部、夜の部、曲目を変えての2回公演が行われました。

♦️昼♦️
「モーツァルト、イザイ、バッハ、ブラームス」のソナタ。「パガニーニ カプリス」。「クライスラー」等。

1曲目、モーツァルトの出だしの音色から溜め息が出ました。
柔らかく、語るようなモーツァルト。
まさに、気品溢れる正統派。

超絶技巧を要する曲目たち。

そして、ブラームスの深くて、美しくて、温かな音楽。

冷房のよく効いたホールだったせいか(この猛暑には非常に有難いことです)、暖炉のような暖かさを感じ、音楽に身体全体まとわれている感覚でした。

♠️夜♠️
「モーツァルト、ブラームス」のコンチェルト。Q チェン作曲「The Joy of Suffering」

モーツァルトは自作のカデンツ。

初めて聴く、チェン作曲のコンチェルト(?)。ポルタメントが随所に使われ、胡弓を思わせるアジアンテイストの難曲。

そして、圧巻のブラームス。
大ホールで聴いてるかのような厚みがあり躍動感溢れるブラームスでした。

彼女の手によって、名器「グァルネリ」の様々な音色が聴こえてきます。
男性と女性の会話のようであり、囁き声であり、想いの丈をぶつける声であり、含みを持った声、歓喜の声、怒りの声、純真な声。
ヴァイオリンって、こんなにも声色を使い分けられるのかしら?と思うくらい、いろいろな情景が浮かびました。

30年以上前、シェリングが、大阪シンフォニーホールで、一夜で三大B(バッハ、ベートーヴェン、ブラームス)のコンチェルトを演奏したのを聴きに行きました。ただただ「凄い」と思いましたが、今回、これだけのプログラムを弾ききる…細い身体のどこにそのパワーがあるのか…。

もっと多くの方に、彼女の音楽を知ってもらえれば……。「本物の欧州の音楽」。

2019.3.15。武蔵野市民文化会館にて、新日本フィルハーモニーとシベリウスのコンチェルトの競演が決まっています。次回は北欧の刺すような寒さと澄み切った空気。大地の力強さの世界に誘われるでしょう。

🎶岐阜でのアンコールは「美しきロスマリン」。
ウィーンの街角で明るく可憐に動き回る…そんな、今の彼女を投影しているかのようなロスマリンで、岐阜の夜は幕を閉じました。

♪2018、ヴァイオリン発表会♪

2018.7月1日(日曜日)。
岐阜ドリームシアターに於いて、発表会をさせていただきました。

私の方針で、ソロ演奏は必ずクラッシック。
ポピュラー曲を選択ということは「音楽」「バイオリン」に失礼だと思い、そこは曲げません。
各々、よく頑張ってくれました。
伴奏者の方にも感謝です。

幼稚園児から大人までの合奏は、その時々、私のなかで閃き感動できる曲を、枠を外し自由に選び、全員が参加できるよう、難易度に合わせ、自ら各パートに編曲して全員合奏します。

今年はプロードウェイミュージカル「🌺スカーレット ピンパーネル🌺」より「謎解きのゲーム〜ひとかけらの勇気」
私の趣意なので、当然、生徒達のなかに、この曲を知る者はいません。
…が、皆さん事前に調べてよく練習してくれました。♭5つという調性的にも大変だったと思いますし、生徒達にとって忙しい昨今、全員での合わせ練習は一回のみです。

私は作曲家ではありませんので、バイオリンパートを、レベルを考え編曲する…というのは、私にとっては大変な作業です。
しかし、毎年終演後「合奏すごく良かったです!」
次回の発表会が決まると「合奏曲は何ですか?」というお声をいただくと、「喜んでいただけるなら頑張らねば!」と、意欲が湧いてきます。

生前の父が、ホールの後方隅で、全員の演奏を静かに聴いてくれていました。
「ソロはひとりひとりよく頑張って弾いていたね。どの子も上手だった。
やはり、バイオリンを習うからには最後に合奏というのは絶対やるべきだね。
長く習ってる子も最近習い始めた子も一緒に演奏する、、それがいいんだ…そこがいいんだ…」
と、発表会後日でも、合奏のビデオを何度も観て、微笑んでいたのが蘇ります。

お手伝いいただく皆様のお陰で成りなっている発表会です。

感謝を申し上げるとともに、後方隅席の父に恥ずかしくないよう、まだまだ私自身も精進していきたいと思いますし、「バイオリン」という楽器にも感謝です。

🇩🇪朝枝信彦先生🇩🇪

🎵2018.5.26、
ドイツ、マンハイム国立歌劇場元コンサートマスターを19年間務めていらした朝枝信彦先生のレッスンを、生徒3名、受講させていただきました。
数年前から何度目になるでしょうか…。

毎回、先生のレッスン、アットホームな中での音楽に関わる様々なお話は一言たりとも聞き逃すまい、と、細胞レベルで集中です。

クロイツェルは必ずカール フレッシュ版

バイオリンを学ぶ者が必ず通るクロイツェル、ローデ、ドントのエチュード。
歴史的にも何故、それが大切なのか…。
バイオリン音楽の成り立ちと共に、正統派の大切さ、師から弟子へ脈々と受け継がれる太い幹の部分の正しい解釈、奏法、音楽性。

先生の中には、どれだけの宝箱が詰まっているのだろう…と思われるくらいの豊富な知識に、私達の眼がその宝物にも負けないくらい、キラキラ輝き始め、次は何の宝が飛び出すのか…と、いつも興味津々です。

「僕はウソはつかないよ」と明るく笑いながら仰る先生。
音楽に正直に向き合い、音楽に対する筋の通った寄り添い方。
正統派芸術のためには、自らを譲らない媚びない姿勢は「敬服」です。

先生の話される声色の落ちつき、穏やかさ、強さ、お話の構築は、まさにドイツ音楽を彷彿させます。

俗世間の喜びとは天と地ほど次元の違う、充実感で満ち溢れた至福の一日。
求める側が貪欲であれば、好奇心が更に進み、質の高い幸福感でお腹いっぱいになることは間違いありません。

先生!ありがとうございました。
セッティングして下さった方にも感謝です🌹

先生と生徒

先生と

…徒然なるままに…2017

🎵今年は高校音楽科時代の友人、大学の同期、多くの古い友人達と会う機会がありました。

🎵感じることは、同じ目標を目指していた仲間は、個性は色とりどりとはいえ、「大切と思えるもの」「美しいと思えるもの」「何に重きを置くか」etc…根底に同じ価値観を持つ者同士。
そんな貴重な仲間と出逢えたことが、何より、人生の宝である。ということです。

🎹大学は、その当時、ピアノ科、弦楽器科合わせ定員30名のため、ヴァイオリン科は6名。
ヴァイオリンという楽器を通して出逢えた友人達とは、今でも、様々な話題で、時を過ごします。

🎻17世紀あたりからイタリアのクレモナで、卓越した職人達によりヴァイオリンが確立され、現在でもその職人達のヴァイオリンは、人々を魅了し続けています。
クレモナの街にはポー川が流れ、その気候が、ヴァイオリン作りに適していたとのこと。
ポー川の源流はアルプス山脈。

🇮🇹北イタリア、コモ湖を訪れたとき、目の前に立ちはだかる崇高で雄々しいアルプス、澄んだ空気、コモ湖の穏やかな水面、歴史に名を残す人々の豪華だけれども落ち着いた佇まいの別荘。

時間を忘れてしまいそうな空間のコモ湖はまるで絵画のようでした。

モコ湖

モコ湖

有難いことに、芸術の街ミラノへは、それほど遠くなく、オンオフが使い分けられる、程よい距離。
この湖水地方から流れ出るポー川の恵みにより、ヴァイオリンは育まれてきました。

ミラノ・スカラ座
ミラノ・スカラ座

🇯🇵20世紀、両親のおかげで子供の頃からヴァイオリンに携わり、偶然なのか必然なのか、ヴァイオリンを通して出逢った大切な仲間達。
各々、人生は様々ですが、時を経て21世紀になっても同じものに共感できる。尊敬できる。語ることができる。

そんな「友」という素晴らしい宝物を得たことを、私は確信していますし、有難く思います。

🔰an der schönen blauen donau

🎼音楽科、最後の合奏授業、

12/9.卒業演奏会にシュトラウスの「美しく青きドナウ」を合奏しました。
音楽科の修学旅行はプラハ、ザルツブルク、ウィーン。
そして、12月中旬、これから受験に向かう3年生が混じっての最後の合奏授業。
最後の最後に、予定外で突発的に、全員各々好きな場所に立ち、指揮無し、コンミスを中心に円形となり、まるでウィーンの街角で自由に奏でるように、最後のドナウを演奏しました。
普段、「ああしなさい!こうしなさい!」と指示する側の私達が、一聴衆となって、彼等の演奏を楽しみました。
若々しく、解放感のある生き生きとしたドナウは、思わず踊りだしたくなるような感覚に陥り、これぞ、至福の時。
終止音と共にbravo!

響きの素晴らしいホールで、緊張感のある演奏を聴くのも素敵ですが、慣れ親しんだ学校の教室で、この先二度と組むことのないメンバー、そしてこのメンバーで弾く最後の曲…という、想いのこもった演奏は、また格別です。

多くの練習時間をかけても、音楽として現れるのは一瞬。まさに「泡沫」。

瞬間芸術の貴さと美しさと儚さと。

「ドナウ川」は恋をしていると「青く」見える…と、昔、ウィーンで教えられたことがあります。
10代の彼等には、きっと青く見えることでしょう。
彼等の「ドナウ」は、まさに「美しく、若々しく、初々しい、青きドナウ」…でした。

2017-2024 岩﨑バイオリン教室